コロナでメンタル状態の悪化
テレワークが普及し、従業員のストレスや孤独感が増加
長時間労働や過重労働、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント
経済的不安定感や雇用不安
個人的なストレス要因(家庭の問題、健康上の問題など
社員のメンタルヘルスの問題を起こす要因は上記のようなものが挙げられますが、
厚生労働省の調査によると
仕事や職業生活に関する強いストレス 現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる 事柄がある労働者の割合は53.3%[令和2年調査54.2%]となっていると報告がありました。
では、実際に企業におけるメンタルヘルスの取り組みはどうなっているのでしょうか?
厚生労働省の「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」によると(14000社の調査結果に基づく)
1)メンタルヘルス不調による休業者等
過去1年間(令和2年11月1日から令和3年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1か月 以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%[令和2年調査9.2%]となっている。
2)メンタルヘルス対策への取組状況
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は 59.2%[令和2年調査 61.4%]となっている。 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所について、取組内容(複数回答)をみると、「ストレスチェックの 実施」が 65.2%[同 62.7%]と最も多く、次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック結果の集団(部、 課など)ごとの分析を含む)」が 54.7%[同 55.5%]となっている。
3)ストレスチェック結果の活用状況
ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果の集団(部、課など)ごとの分析を実施した事業所の割合は 76.4%[令和2年調査 78.6%]であり、その中で分析結果を活用した事業所の割合は 79.9%[同 79.6%]となっ ている
(参照:厚生労働省の「令和3年労働安全衛生調査(実態調査))
上記の結果を見るとメンタルヘルスの取り組みとして、ストレスチェックを実施している企業は増えていることがわかります。これは行政からの指導(労働者数50人以上の事業場で実施が義務づけ)なので当然の数値だと思います。
ただ、ストレスチェックで社員の本当の状態をどれだけ把握できるのか疑問視する声もあります。すべての社員がストレスチェックに本当の回答をするとは限られません。中には、上司にストレスやメンタル問題を知られるのが怖い、悩みを周囲に知られたくない、などの理由から正直に回答しない社員もいると思います。
厚生労働省の『ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて』の統計によると、受検者のうち高ストレスと判定された従業員の割合は5~20%を占めていることが分かりました。また、高ストレスと判定されて医師の面接指導を受ける従業員の割合は5%未満でした。
ストレスチェックにはまだ課題が残ることが分かります。
以下は厚労省が推奨している4つのメンタルケアです。
1.セルフケア
従業員が自分たちでメンタルや自分の心の健康状態を管理する
2.管理監督者によるラインによるケア
直属の上司などが部下のメンタルヘルス状況を把握し改善を行う
3.事業場内・産業保健スタッフ等によるケア
産業医や衛生管理者・保健師が「セルフケア」や「ラインケア」できるよう支援する
4.事業場外資源によるケア
専門的な外的機関のアドバイスやサポートを取り入れる
その他に、企業が行っているメンタルヘルス対策として、以下のようなものがあります。
メンタルヘルス教育やカウンセリングの実施
オンラインコーチングやストレスチェックの導入
フレックスタイムやリモートワークの導入
ワークライフバランスの改善
ストレスチェックの実施
メンタルヘルスに関する相談窓口の設置
健康経営に取り組む取り組み
ただし、企業によってはメンタルヘルスへの取り組みは不十分で、まだまだ実施していない企業(特に中小企業)も多いことでしょう。
参考までに、以下はWHOが作成したメンタルヘルスガイドライン(Mental Health Guidelines)です。各国の政府や保健当局、医療機関、社会福祉団体、民間企業などがメンタルヘルスに関する政策やプログラムを策定する際に参考とするためのガイドラインです。
メンタルヘルスに関する政策の立案や実施、メンタルヘルス問題の予防、治療、ケア、社会的包摂、人権保護、データの収集や分析などに関する指針をまとめています。
企業におけるメンタルヘルスの現状と課題をまとめると、
企業のメンタルヘルスへの取り組みは増えている(59.2%)
仕事や職業生活に関する強いストレスを感じている従業員が多い(53.3%)
メンタルヘルス対策としてストレスチェックを導入している企業は多い(65.2%)
カウンセリングや精神科の受診など指導を受ける従業員の割合は低い(5%未満)
今回は以上となります。
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